医学部現役合格を目指して
ぱなしが医師になりたいと小学生から言っていたが、医学部合格にむけて特別なことは特にしておらず、
メッシに憧れたあの日から時間があればサッカーを頑張る毎日。
サッカーで疲れ、勉強はくもんと学校の宿題をこなすだけで精一杯。
そんな日々が高校2年まで続き無謀な医学部受験に立ち向かっていく事に。
ぱなしの現役、1浪、2浪の3年間は本当に苦しい毎日で、ところどころ記憶がないところもあるくらい。
その中でも一生涯忘れることのない一大事があった。
センター試験直前の大事件
あれは現役のセンター試験7日前、忘れもしない土曜日の午前。
私はパートにでていた。
仕事中に自宅で勉強してるはずのぱなしからLINEがきた。
「背中が痛い。」と。
その時は (昨日してた筋トレのせいか)くらいに思って自宅へ帰ると、仕事中の旦那から連絡があった。
「気胸かも?救急に行ったほうがいいかも。」とLINEがきた。
どうやら仕事中にぱなしから症状を聞き自分で調べたみたいだった。
のんきな私はその時(救急?大袈裟ちゃう?)と思った。
この時のぱなしは、筋肉痛の痛みのような「痛てて」くらいの感じだったが、
センター試験前というのもあって念のため救急へ行く事にした。
診察をしてくれた医師は若い女性の先生。
「んー筋肉痛かな?湿布をだしますね。」と。
「よかったーーー!」と一瞬、力がぬけたけど旦那が言っていた
【気胸】という言葉がひっかかったので
「あのー気胸…とかではないですよね?」とまさかという感じで聞くと、
「…気胸。」
「…レントゲン、一応撮りましょうか?」
「え?レントゲン撮る?撮っちゃう?嘘やろ?冗談ですよ?」と心の中で言いながら
自分の脈拍が痛く感じる程ドキドキしてきた。
結果は、見事に旦那が言い当てた【気胸】だった。
「すぐに専門医がいる病院で処置しないといけないのですぐに行ってください!」と慌てた表情。
目の前が真っ白になりそこからはあまり記憶がないくらいの早いスピードで時間がすぎ、車で1時間くらいの大きい病院にあっという間に着いていた。
そこで診察をしてくれたのは、30代くらいの眼鏡をかけた優しそうな男性医師。
エリート医学部卒のいかにも敏腕医師という雰囲気だった。
診察するなり先生は
「あらら。今、結構苦しいんじゃない?肺が1/3まで小さくなってるわ。」と。
さ、さんぶんのいち!!
と驚いたが優しく穏やかな口調に、ぱなしも私も少し冷静さを取り戻し話を聞く事ができた。
「すぐ空気を抜かないとあかんからね、横腹に穴をあけて…」と淡々と説明が始まった。
少し冷静さを取り戻していた私は説明を聞きながら、センター試験7日前だという事を思い出していた。
横に座っているぱなしを見ると今から自分の体に穴があき管が入る事にただただ恐怖で固まっていてセンター試験の事など全く忘れている様子だった。
仕方なく私が
「あのーセンター試験7日前なんですが受験できますか?」と聞くと
「えー!!すごいタイミングやな。」
先生はカレンダーを睨みつけながら
「入院中に一時退院する形になるかなー」と言われた。
「入院?!」ぱなしと私の声がかぶった。
また目の前が真っ白になった。
それから先生に言われた事で覚えてる事は3つだけだった。
- 現状は肺に穴があき胸腔内に空気がたまり、肺がかなり小さくなってしまっているのですぐに空気を抜く必要があること
- 空気を抜いて穴が数日で勝手に穴が閉じる事もあること
- 穴が閉じなければ手術で穴を塞ぐ事になること
「じゃ後ろで横になってね。」
恐怖で固まっていたぱなしが
「もうですか?今すぐですか?」と心の準備が…と言わんばかりに小さい声で抵抗していた。
「そうよー!」と笑顔で看護師さんがベッドの方を指していた。
腹を決めたぱなしの後ろ姿を私は涙目で見送った。
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